2019-01-01から1年間の記事一覧

以後の話

私をおいて家族が車で出かけた天気の悪い日曜日。 もし、父の運転する車が悪天候で事故を起こして3人もろとも死んでしまったら、私は行きなり明日から天涯孤独になるんだなとひどい想像をよくしていた。朝のニュースで見た衛星写真の台風は、私が見てもわか…

夢ができあがるまで

テレビをつけたままで寝落ちすると、 テレビから流れる音と自分の夢が相混じってしまうことに気付いた。 特に、ニュースの内容がよく絡んでくる。 朝4時くらいから始まるニュースが私のレム睡眠と重なるのだろうか。 このニュース、初めて見たのになんで見た…

切れたティッシュペーパーをそのままにして、

切れたティッシュペーパーをそのままにして、 トイレットペーパーでやり過ごす日々を送っている。トイレットペーパーは水に流すために 作られている紙なのだから、 こぼしたお茶を吸い込めるわけもなく、 机の上で、どろどろのスライムのように 溶けてしまう…

いつまでたっても遠い味

コーヒーが飲めない。 味も匂いも大好きなのに 体がどうしても受け付けてくれない。飲んで少し経つとじわじわと腹痛が襲ってくる。 これが非常につらい。コンビニのカフェラテは何度も挑戦してみたけれど、コーヒーの比率が多いのかほとんど撃沈した。 私は…

暗い部屋のなか

冨安由真さんの個展『Midnight Visitors 真夜中の来訪者』を見に行った。 以前銀座でやっていた個展は仕事の忙しさから出向くことができなかった。この個展の開催も、以前の個展のことも知ることができたのはTwitterのおかげだ。ぼんやり眺めているタイムラ…

生活はできそう

牛乳と卵が冷蔵庫の中にあると安心する。カップ麺やレトルト食品の方がよっぽど役にはたちそうなのだけれど、冷蔵庫の定位置にそれがあるだけでなんだか正しい生活を送れているような気持ちになる。まぁそんなことはなく、明日が消費期限の紙パックの牛乳と3…

名前

名前をよく間違えられる。 苗字も名前もそこまで珍しいわけではないのだけれど、人はよく見る漢字のほうについつい引っ張られてしまうみたいだ。 私も経験があるのでその気持ちはすごくよくわかる。 あまりにもよく間違えられるので、 今じゃ特段訂正の連絡…

これからも続く

会社を辞めた。 長くて短い3年間だった。任された仕事をすべて終わらせて、引き継ぎも滞りなくこなした。 我ながら結構頑張ったのではないか。 ロッカーのなかに入っている大量の書類をシュレッダーにかけながら時の長さをぼんやり思う。 素敵な送別会、花束…

時間切れ

全ての人に平等に時は流れているんだから、 そりゃ15歳の私も26歳になるだろう。割といい年になってしまった自分に 自分の意識が追いついていない。外の空気が夏を帯びてきているのを感じる。 社会に出て4回目の夏。会社の行き帰りはいつも音楽を聴いている…

カレンダー

子供の頃、週末がこわかった。 週末は家族行事が絶対に入るからだ。 父は私をいろんなところに連れていってくれた。遊園地、水族館、大きな公園。 釣りやキャンプ、プールまで。下手すると関東近辺の子供が好む施設は全て行ききっているのではないかというく…

桜が咲いたら春が来たということ

家族全員で近所の川沿いの桜を見に行った。 毎年家族で行う恒例行事。 歩くルートはほぼほぼ同じなので、どこが花見の見所なのかも、どの場所にある露店のたこ焼きがおいしいのかも大体はわかっている。 自分の記憶と目の前にある川沿いの風景を照らし合わせ…

ごほうびをあげる

社会人になってからというもの、些細なことでも自分にごほうびをあげるようになってしまった。 今日は一度も先輩に怒られなかった、最低な気分だったけど化粧だけは落として寝た、ちゃんと遅刻しないで起きられた。 普通の人が普通にこなせていることを普通…

髪を切る意味

ショートカットの女性に憧れている。重めのショートボブも 襟足まで刈り上げたようなベリーショートも すごくすごく素敵だと思う。私は、中学生の頃から一度も髪を肩より短くしたことがない。 何故?したいならすればいいだけのことではと自分でも思うのだけ…

ピアノの鍵盤

ようやくまとまったお金が貯まり、 ずっとやりたかった歯列矯正を始めた。小さい頃から歯並びがコンプレックスだった。 大きくて形の悪い歯が小さな顎に収まらず色んなところががたがたと飛び出ている私の口のなか。ピアノの鍵盤のように同じ大きさの白い歯…

苛立つための権利

「それだと意味がなくて、」私の上司がよく使う言葉である。 私があまりに程度の低い資料を作るせいで、 彼女は私にそう言わざるを得ないのだ。そういわせてしまう自分の不備を責めつつも、 ここまで鋭い言葉をわざわざ選択する必要はあるのだろうかといつも…

めでたしめでたしで終わればいいのに

毎日のように垂れ流しているのだけれど、私は仕事ができない。相当できない。世界で一番仕事と言うものに向いていないのではないかというくらいできない。 それに加えてその事実を他人に悟られる事が死ぬほど恥ずかしいという最悪の自我も持ち合わせている。…

結局同じところに戻る

極端な例を自分の中に持ち出して、 自分の思考の傾向を判断することがある。性格の悪い美人か、性格のいいブスか。 楽しくて短い人生か、そこそこで長生きするか。 お金持ちで不幸せか、貧乏だけど幸せか。 早く帰れて賃金の安い仕事か重くてお金の羽振りも…

ずっとそこにある

一緒にお昼を食べに行ったり、たまの休日に遊んだりもしていた別部署の人が休職した。ちらちらと冗談めかして「いきなり会社行かなくなっちゃうかもなぁ」なんて言ってたことが現実になった。家庭の事情だったらどうしようかといろいろな闇もしたけれど、耐…