夢ができあがるまで

 
テレビをつけたままで寝落ちすると、
テレビから流れる音と自分の夢が相混じってしまうことに気付いた。
 
特に、ニュースの内容がよく絡んでくる。
朝4時くらいから始まるニュースが私のレム睡眠と重なるのだろうか。
 
このニュース、初めて見たのになんで見たことある気がするんだろう、
と思うことが多々あったのだけれど、理由がわかると随分単純なことだった。
 
耳から入った情報が夢の中で現実になるというわけだ。
ただ、元々の私の中の夢に要素が入り込む形になるので、
内容としてはぐちゃぐちゃになる。
 
小学校の同級生がその身なりのままで、デモの責任者として取材を受けていたり、
職場の人が被害者として遠くの地域の災害情報を話していたり、
夢の中で起こることはだいたいおかしいのだけれど、
その時はおかしいなんて思いもしない。
 
ただ、夢だと気づくこともまれにある。
 
気づいても夢から覚めない場合は、見えるもので一番高い建物を
探すようにしている。そこから飛び降りると大体起きるようにできている。
 
風を浴びる体の感触が妙にリアルなのだけれど、
私は高いところが大嫌いなのでバンジージャンプもスカイグライダーもしたことはない。
 
これもきっと、私が視覚で見た情報を夢が補完してくれているから
感じることなんだろう。
 
経験していなくても見聞きしたことがあること、
自分とそれの境界があいまいであればあるほど夢は現実に近づいてくるんじゃないか。
近づいてきた夢に私は気づけるのだろうか。
 
ひとつだけどうしても忘れられない夢がある。
外に出る支度をして家のドアを開けると、写真が入っていない状態の大量の写真立てがエレベーターまでのをふさいでいる夢だ。
なんだこれは?と思いつつ時間もないので写真立てをまたいでエレベーターに乗ったのだがその時の何とも言えない不気味さが忘れられない。
その夢をみてからというもの、毎朝ドアを開けるときあるはずのない写真立ての存在を感じて少しゆっくり開けてしまう。