桜が咲いたら春が来たということ

家族全員で近所の川沿いの桜を見に行った。


毎年家族で行う恒例行事。


歩くルートはほぼほぼ同じなので、どこが花見の見所なのかも、どの場所にある露店のたこ焼きがおいしいのかも大体はわかっている。


自分の記憶と目の前にある川沿いの風景を照らし合わせていく。


そんななかで、見覚えのある店の場所が更地になっていたり、目印にしていた看板が外されていたりすると何とも言えない寂しさが込み上げる。


私にとっては年に一度の場所でも、ここでずっと暮らしている人がいる。

長く続いた人の営みが途切れた跡。

閉店の張り紙などはすでにない、一体いつ店を畳んだのだろう。

一度も入ったことないこのお店はどんな人が営んで、どんなお客さんが入っていたのだろう。



近所だというのに、桜並木の中の風景でしか知らない町。



帰り際、いつもの場所にある今川焼の屋台を見つけた。初めて行ったときからおじいさんの店主がかきいれ時と言わんばかりにせっせと手を動かしている姿を見てほっとする。




来年もきっと見に来るからね。