結局同じところに戻る

極端な例を自分の中に持ち出して、
自分の思考の傾向を判断することがある。

性格の悪い美人か、性格のいいブスか。
楽しくて短い人生か、そこそこで長生きするか。
お金持ちで不幸せか、貧乏だけど幸せか。
早く帰れて賃金の安い仕事か重くてお金の羽振りもいい仕事か
私のことを好きな私が好きじゃない人か私のことが好きじゃない私の好きな人か

どちらかしか選べなかったら私はどちらに所属するのか。

漠然とした容姿へのコンプレックス、
結局繋がらなかったいのちの電話
一度も海外に行ったことがないことへの焦り、
カラオケオール後のなか卯の朝ごはん、
あの人から言われた言葉、
仕事のできない自分への嫌悪感、
終電のホームで座り込んで泣いた夜、
その全てが丁寧に折り重ねられて私を形成していく。

その厚みや細やかさは、普通の人と比べてしまえば
恥ずかしいほどに薄く粗いのだろうけど、
これしかもっていないのだから仕方がない。

ただでさえ当たり前の事すらできなかったくせに
人のものを綺麗だいいなと羨むなんて私がしていいことではない。
分かってはいるけれど、あまりに人の人生が眩しくて
きれいだなあとぼんやりと眺めてしまう。

行き過ぎた時間を懐かしんだり憐れんだりしている間に
私はどんどん年をとる。

若さから遠のく、
何者にも成れていないことに気づく。

もう25歳になる。
全てを清算して楽になりたいと思う反面、
どこかで鈍く光る鈍器で世の中を粉々にしてやりたいと思っている。

いつか、どこかで、誰かを見返してやるという衝動。
鈍器として使えるような才能は何一つ持ち合わせていないのに?

全速力で走ることもできない癖に人生に言い訳してきたツケが
まわってきたのだとひしひしと感じる。
いつかの自分が頑張ると思ってたかをくくって生きてきた私への罰だ。

世の中には性格が良い美人も、性格が悪いブスもいるし、
仕事が出来てお金も持ってて、
毎日生き生きして、
好きな人から愛されて長生きして幸せに暮らす人もいる。

言葉で書くのはこんなに簡単なのに。

でも、人間はそんなに簡単に物語には成りえない。
私は魔法を使えない。
私の人生を歩くしかない。