これからも続く

会社を辞めた。
長くて短い3年間だった。

任された仕事をすべて終わらせて、引き継ぎも滞りなくこなした。
我ながら結構頑張ったのではないか。
ロッカーのなかに入っている大量の書類をシュレッダーにかけながら時の長さをぼんやり思う。


素敵な送別会、花束と色紙にプレゼント。
私はこんなものをもらっていい人ではないと思う反面、みんなの優しさが染みてきて思わず泣いてしまった。

送別会の場面で同僚が、後輩が、そして直属の先輩が私につられて泣いてくれたことを私は一生忘れないと思う。

彼の人生の数年間が私の育成に使われた事実は変わることはなく、その時間の重みと恩を返せない負い目から始めた転職活動。

1年足らずで上司があれよあれよと退職し、若手だけがとり残された。足りない経験は、長時間労働で補った。

みんな必死だった。

仕事の合間を見つけて若手で有志の旅行にいったり、なんのきなしに飲んでいたら盛りあがって朝になったり。
終わるときに思いだすものというのはなぜこんなに鮮やかなんだろうか。


何度も死のうと思った。
苦しくて苦しくてたまらなかった。


私がバカなのか短絡的なのか、あんなに苦しい日々も思い出して言葉にだすと涙にくるまれて、全部笑い話になってくれた。

もうあの素晴らしい人たちと利害関係で繋がってはいないのだと思うとほっとする。
そして同時に、やっぱりあの場所で役に立ちたかったなと思う。

素敵な人たちの涙に見合う、素敵な人になりたいと思った、振り返る日々が宝物だったことに気づく。

あの日々が無駄じゃなかったって胸を張ってこれからを生きていきたい。
これからも人生は続いていく。