光っていた日々

学生の頃足しげく通っていた街が改修工事で
どんどんと知らない風景に変わっていく。

社会人になってからはあまり行く機会もなく、
ツイッターやたまのニュースで知るばかりではあるのだけれど、
それでも知らせ見るたびに少しひるんでしまうくらいには悲しい。

風景や匂いと思い出は親和性が高い。
それをきっかけにしてたくさんのことを思い出してしまう。

頭の悪い私はいつかそんな思い出たちも
忘れてしまうような気がして、
できる限り物にすがる。

スマホの中のアルバムやラインのトーク履歴、
変わらないと信じた街の風景は
私にとってリアルよりよっぽどリアルなもので、
変わってしまった街を見ると、
自分の学生時代がなかったことになってしまうようで怖いのかもしれない。

色んなものがどんどんなくなって、
思い出の中だけの場所が
増えていくことを想像する。

今の生活と比べてしまうと、
学生時代の毎日は恐ろしいほどに
鮮やかで、くだらなくて、一瞬だった。

社会に出て2年と少し、こんなに時間が経つのって早かったっけ。何の思い出も思い出せない。
ただ溶けていっただけの日々たち。

あの4年間だけが、
私の人生のなかで不相応なくらい
きらきらと光っている。

不便な歩道橋、
深夜まで空いてる本屋
ガード下の飲み屋とドラッグストア
集合場所の喫煙所
何もかもが泣きたくなるくらい懐かしい。

あまりに感傷的になっていたせいか、
夢にまで出てきてしまった。

もうないはずの歩道橋を友人と歩いているだけ。
もうない道やボロボロのビルが建つ風景の中で
同じ時を刻んだ街だけが
私を置いてどんどんと再生していく。